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犬のフードやおやつに含まれる「酸化防止剤」の危険性を獣医師が解説

酸化防止剤は危険なのでしょうか。今回は、酸化防止剤を中心にドッグフードに含まれる添加物の種類や役割、安全性について、「ペットフード安全法」により保証された品質の側面から解説します。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

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ドッグフードやおやつに含まれる酸化防止剤に発がんリスクがあって危険って本当?

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ドッグフードやおやつに含まれる添加物のひとつである「酸化防止剤」。これについて、発がんリスクがあるため危険なのではないか…という噂を聞いたことはありませんか?しかし、その噂は本当なのでしょうか。

◇そもそも酸化防止剤とは?
主にドライフードやセミモイストフードなど、脂質の酸化が進みやすい性質をもったドッグフードにおいて、その品質と安全性を守ることを目的として使用される添加物の1つです。酸化防止剤を混ぜることで、酸化により過酸化脂質が発生して味が落ちてしまうことや嘔吐や下痢を引き起こすなど、体に悪影響を及ぼしてしまうことを防ぐ効果があります。

◇主な酸化防止剤の種類
ドッグフードに使用される主な酸化防止剤には、以下のようなものがあります。

※指定添加物とは科学的な安全試験によって人の食品に入れることを認められているもの。既存添加物とは経験的に長く使用されていて例外的に使用、販売が認められているものです。

【BHA(ブチルヒドロキシアニソール)】
人の食品の指定添加物です。

【BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)】
人の食品の指定添加物です。

【アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)】
人の食品の指定添加物でもあるが、使用制限は設けられていない。

【トコフェロール(ビタミンE)】
植物によってつくられ、自然界に広く存在する。食品の既存添加物として使用されることがある。

【ローズマリー抽出物】
ローズマリー(マンネンロウ)の葉または花から得られた、カルノシン酸、カルノソール及びロスマノールを主成分とするもの。人の食品の既存添加物でもある。

【クエン酸】
人の食品の指定添加物でもあるが、使用制限は設けられていない。

◇酸化防止剤に発がん性があるって本当?
上記で挙げた酸化防止剤のうち、例えば『BHA』には「発がん性があるのでは」と心配する声を聞くことがあります。しかし、発がん性が報告されたのは、ラットでの動物実験において、科学的に無害だと判断できる量を探し出すために行った“極端な試験”による数値でのもの。その実験でラットの前胃に発がん性が認められたのですが、前胃のない動物に対する発がん性の報告はありません。実際に犬を用いた実験も行われましたが、発がん性はないと判断されています。
また、実際に、ドッグフードに使用する量については、「ペットフード安全法」という法律により、科学的に安全が確認されている使用基準があるため、それにのっとって使用されている分には危険性はありません。

それでは、この「ペットフード安全法」とはどのようなものなのでしょうか。次の章で具体的にご説明します。

添加物などの基準を定め、ドッグフードの安全性を保障する「ペットフード安全法」とは?

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◇ペットフード安全法とは?
ドッグフードなど、ペットフードの安全性を確保することで犬や猫の健康を守り、動物愛護に寄与するための法律で、正式名を「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」といいます。主旨としては、国がペットフードの製造方法や表示基準、成分の規格を定めたうえで、犬や猫に有害な物質を含むペットフードなどの製造や輸入、販売を禁止するという世界にも類を見ない法律です。

◇添加物に関する規定は?
使用してはいけない添加物をきちんと定めた上で、使用頻度の高い添加物や使用上の注意が必要な添加物については、科学的な知見に基づいて、使用してよい上限値となる成分規格が定められています。

◇添加物に関するルールは「ペットフードの表示に関する公正競争規約」にも
ペットフード公正取引協議会が制定した規約である「ペットフードの表示に関する公正競争規約」では、そのパッケージにおいて、製造に使用した添加物の名称を個別に記載することと、⽢味料・着⾊料・保存料・増粘安定剤・酸化防⽌剤・発⾊剤として添加物を使⽤した場合はその⽤途も併記することが設けられています。確認してみるのもいいでしょう。

なお、現在では「ペットフード安全法」でも添加物を含む原材料の表示が義務化され、国内で流通するペットフードすべてにおいて、添加物が表示されることとなりました。

その他、ドッグフードに使用される主な添加物

◇保存料
食品の保存性を良くするために加えられている添加物です。特に水分が含まれているドッグフードは微生物が繁殖しやすく、腐敗による品質低下はもちろん、例えば大腸菌のように体に悪影響を及ぼす微生物が繁殖すると、健康被害が出るおそれがあるため、微生物そのものの繁殖を妨げるために使用されます。

◇着色料
ドッグフードに使用される原材料は主に天然素材であり、そういった原材料は、収穫する時期によって色がばらつくことがあります。そのため、見た目の色調を整えることを目的に、食品添加物として使用が許可されている色素が着色料として使用されます。

◇増粘安定剤
缶詰やレトルトパウチといったウエットタイプのドッグフードの、しっとりした質感やゼリー状のとろみをつけるのに使用されます。

正しい知識で愛犬にとってベストなドッグフード探しを!

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これまで説明してきたとおり、現在販売されているドッグフードにおいては、「ペットフード安全法」などにより、安全とされる基準や制限などで、その安全性が確保されています。そのため、添加物に関して気にしすぎることは、かえって大切なものから目をそらすことになりかねません。愛犬に与えるドッグフードを選ぶうえで一番大切なのは、愛犬に合った栄養バランスのもの選び与えることです。正しい知識を持ち、愛犬の健康にベストなドッグフードを選ぶようにしましょう。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
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