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【獣医師監修】犬の痙攣(けいれん) 寝ているときのピクピクは?危険な症状の見分け方
愛犬が痙攣(けいれん)を起こしたら、どうすればいいのでしょうか。今回は、犬の痙攣の主な症状や、てんかんなどの病気をはじめとする原因、正しい対処法について解説します。犬の痙攣に関する正しい知識を身につけ、少しでも落ち着いて対処しましょう。
石田 陽子 先生
石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長
麻布大学獣医学部獣医学科卒業
●経歴:ぬのかわ犬猫病院本院副院長/ぬのかわ犬猫病院中田分院院長 など
●資格:獣医師
●所属:日本小動物歯科研究会/比較歯科学研究会/日本獣医動物行動研究会
犬の痙攣(けいれん)とは
犬の痙攣の主な症状
- 全身を硬直させて、ガクガクと激しく震える
- 体の一部だけが震える、ピクピク一定のリズムで動く(前足だけ、顔面だけなど)
- 体を反るように激しく震える
- 犬かきのように足をバタバタとさせる
- 意識がもうろうとしたり、なくなったりする
- 口を大きく開けて目を見開き、呼吸が10秒ほど止まる
- 嘔吐や失禁をする
- 大量のよだれが出る
- 痙攣発作後呼吸が荒いが、しばらくするとケロッとしている など
※痙攣発作のあらわれ方には個体差があり、すべての犬に当てはまるとは限りません。
これらの症状が見られたときは、動物病院で診てもらいましょう。なお、痙攣が3分以上続いた、愛犬が呼吸をしていない、意識がない、短い痙攣でも繰り返し発症する、といった様子が見られたら、一刻も早く動物病院に連絡をしてください。
痙攣に似ているしぐさとその見分け方
睡眠時にピクピク動く
ただし、犬がひどいいびきをかく、睡眠中に激しい動きをする、またはその行動を何回も繰り返している場合は、のどや気管、脳の疾患などの疑いもあるので注意が必要です。
しゃっくりによる痙攣
そのため基本的には心配いりませんが、頻繁に繰り返したり、なかなか止まらなかったりする場合は、病気のおそれもあるため、獣医師に相談するとよいでしょう。
緊張や寒さによる震え
犬の痙攣(けいれん)の原因として多い「てんかん」とは
犬のてんかんってどんな病気?
通常、犬の脳は、興奮を伝える細胞(興奮性神経細胞)と興奮を抑える細胞(抑制性神経細胞)が、お互いにバランスを取り合って情報を伝達しています。しかし、何らかの異常でそのバランスが乱れると、過剰な放電(興奮)が起こり、痙攣や発作といったさまざまな症状が見られるようになるのです。
犬のてんかんの原因
特発性てんかん
症候性てんかん
犬のてんかんの主な症状
なお、犬のてんかん発作は、症状のあらわれ方によって以下のように分類されます。
全般発作
- 意識を失い倒れ、体がのけ反るように突っ張る(強直発作)
- 意識を失い倒れ、手足の痙攣、遊泳運動(空中で足かきするような動作)が続く(間代発作)
- 短時間の脱力や意識消失 など
全般発作の場合は、強直発作のあとに間代発作が見られることもあれば、強直発作と間代発作が合わさったような症状が見られることもあります。
部分発作
- 顔面や前足など、部分的な痙攣を起こす
- 一点をじっと見つめる、口をクチャクチャする、虫を追うように空中を噛む、短時間だけ攻撃的になるなどの行動異常を起こす
- 落ち着きがなくなる、よだれを多量に垂らす など
こんな症状は要注意
犬のてんかんの主な治療法
例えば、特発性てんかんの場合は、抗てんかん薬によって症状の頻度や発作の程度を少なくし、脳へのダメージを抑える治療を行うケースが多いです。一方、症候性てんかんの場合は、それぞれの原因に応じて内科治療や外科治療を行います。
てんかん以外の犬の痙攣(けいれん)の原因とは
筋肉疲労
中毒症状
犬が口にすると危険なものについては、下記の記事で解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
熱中症
犬の熱中症の症状や原因、対処法などについては、下記の記事を参考にしてください。
低血糖
犬の糖尿病については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
その他
犬が痙攣(けいれん)発作を起こしたときの対処法
飼い主さんが取るべき対処法
- 周囲に犬がぶつかりそうなものがあれば片づける
- 階段や段差での転落を防ぐため、ドアを閉めて犬の安全を確保する
- やさしく小さな声で「大丈夫だよ」などと声をかける
- 診察の手助けになるので、痙攣している状況を記録したり、動画を撮影したりする(※) など
※犬が痙攣している状況を記録する場合は、落ち着いてからでもいいので、以下のチェックポイントをメモしておきましょう。
犬の痙攣時のチェックポイント
- 痙攣を起こした日時
- 発作の回数(初めてかどうか)
- 痙攣を起こす前に食べたもの
- 痙攣を起こす前の行動
- 犬のいる部屋の温度
- 痙攣発作の継続時間
- 発作の起こった部位(部分的なのか全身なのか)
- 発作の内容(嘔吐やよだれの有無) など
犬が痙攣を起こしているときの注意点
そして、犬が落ち着いたら、首輪やリードをつけている場合は、安全を確認したうえで外し、嘔吐物やよだれ、泡などが口まわりについているようなら、拭いてあげてください。回復後しばらくたっても意識がもうろうとしたり、ぐったりしていたりする場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
なお、犬が痙攣を起こしているときに以下の行動を取るのは大変危険ですので、絶対にやめてください。
犬の痙攣時のNG行動
- 無理に犬を押さえつけ、痙攣を止めようとする
- 体を起こしたり、揺らしたりする
- 大きな声で名前を呼ぶなど、大きな音で犬を刺激する
- 犬の口にタオルを挟もうとする など
犬の痙攣(けいれん)に関する正しい知識をもって慌てずに対処しよう
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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