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【獣医師監修】犬の痙攣(けいれん) 寝ているときのピクピクは?危険な症状の見分け方

愛犬が痙攣(けいれん)を起こしたら、どうすればいいのでしょうか。今回は、犬の痙攣の主な症状や、てんかんなどの病気をはじめとする原因、正しい対処法について解説します。犬の痙攣に関する正しい知識を身につけ、少しでも落ち着いて対処しましょう。

犬の痙攣(けいれん)とは

外で遊ぶ柴
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬の痙攣とは、数秒~1分(長い場合でも3分程度)の間、全身または一部の筋肉が激しく収縮することによって、自分の意思とは関係なく体が震える状態のこと。犬の痙攣の主な症状は、以下のとおりです。

犬の痙攣の主な症状

  • 全身を硬直させて、ガクガクと激しく震える
  • 体の一部だけが震える、ピクピク一定のリズムで動く(前足だけ、顔面だけなど)
  • 体を反るように激しく震える
  • 犬かきのように足をバタバタとさせる
  • 意識がもうろうとしたり、なくなったりする
  • 口を大きく開けて目を見開き、呼吸が10秒ほど止まる
  • 嘔吐や失禁をする
  • 大量のよだれが出る
  • 痙攣発作後呼吸が荒いが、しばらくするとケロッとしている など

※痙攣発作のあらわれ方には個体差があり、すべての犬に当てはまるとは限りません。

これらの症状が見られたときは、動物病院で診てもらいましょう。なお、痙攣が3分以上続いた、愛犬が呼吸をしていない、意識がない、短い痙攣でも繰り返し発症する、といった様子が見られたら、一刻も早く動物病院に連絡をしてください。

痙攣に似ているしぐさとその見分け方

犬のしぐさのなかには、痙攣と間違えやすいものもあります。状況や犬の状態をよく観察して判断しましょう。

睡眠時にピクピク動く

犬が睡眠時に足や目をピクピクさせるのは、浅い眠りの「レム睡眠」のときに見られる行動であり、痙攣しているわけではないので心配いりません。レム睡眠は脳が覚醒している状態のため、脳の活発な活動に体が反応していると考えられます。
ただし、犬がひどいいびきをかく、睡眠中に激しい動きをする、またはその行動を何回も繰り返している場合は、のどや気管、脳の疾患などの疑いもあるので注意が必要です。
犬が睡眠時にピクピクと動くしぐさについては、以下の記事もご覧ください。

しゃっくりによる痙攣

しゃっくりは横隔膜の痙攣によって起こります。よくある原因は、フードの早食いや、冷たい飲み物による胃の冷えなど。生理現象のため、特別な理由がなくても見られることが多いものです。
そのため基本的には心配いりませんが、頻繁に繰り返したり、なかなか止まらなかったりする場合は、病気のおそれもあるため、獣医師に相談するとよいでしょう。
以下の記事ではしゃっくりについて詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

緊張や寒さによる震え

犬は不安や恐怖を感じたり、緊張したりすると体を震わせることがあります。また、寒さが原因で震えることも。こういったケースは痙攣ではないため、考えられる原因に合わせて飼い主さんが対処してあげるようにしましょう。
犬の震えの原因や対処法については、以下の記事でも解説しています。

犬の痙攣(けいれん)の原因として多い「てんかん」とは

ドッグランで遊ぶポメラニアン
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬が痙攣を起こす原因はさまざまですが、「てんかん」という病気が原因となって、痙攣を起こすケースが多く見られます。

犬のてんかんってどんな病気?

てんかんとは、脳の神経細胞が突然過剰に放電することで起こる、脳の病気のことです。
通常、犬の脳は、興奮を伝える細胞(興奮性神経細胞)と興奮を抑える細胞(抑制性神経細胞)が、お互いにバランスを取り合って情報を伝達しています。しかし、何らかの異常でそのバランスが乱れると、過剰な放電(興奮)が起こり、痙攣や発作といったさまざまな症状が見られるようになるのです。

犬のてんかんの原因

犬のてんかんは、原因によって以下のように分類されます。

特発性てんかん

検査上では異常が見つからないのにもかかわらず、てんかん発作を周期的に起こしてしまう病気を「特発性てんかん」といいます。詳しい原因はわかっていませんが、遺伝的要素が強いと考えられており、音や光、ストレスなど外的刺激が引き金となるケースも。

症候性てんかん

脳の病気や奇形が原因で、てんかん発作を繰り返すのが「症候性てんかん」です。この病気を引き起こすものとしては、頭部の外傷、脳炎や脳腫瘍、水頭症などが挙げられます。

犬のてんかんの主な症状

犬によって異なりますが、最初は突然鼻を鳴らしながらクルクルと歩き回ったり、ソワソワしたりするなどの前兆が見られ、その後、痙攣するなどのてんかん発作を数秒~2、3分程度繰り返し、回復するといったケースが多いです。

なお、犬のてんかん発作は、症状のあらわれ方によって以下のように分類されます。

全般発作

脳全体が異常に興奮しているときに起こる発作で、主に以下のような症状が見られます。
  • 意識を失い倒れ、体がのけ反るように突っ張る(強直発作)
  • 意識を失い倒れ、手足の痙攣、遊泳運動(空中で足かきするような動作)が続く(間代発作)
  • 短時間の脱力や意識消失 など

全般発作の場合は、強直発作のあとに間代発作が見られることもあれば、強直発作と間代発作が合わさったような症状が見られることもあります。

部分発作

脳の一部が異常に興奮しているときに起こる発作で、主に以下のような症状が見られます。
  • 顔面や前足など、部分的な痙攣を起こす
  • 一点をじっと見つめる、口をクチャクチャする、虫を追うように空中を噛む、短時間だけ攻撃的になるなどの行動異常を起こす
  • 落ち着きがなくなる、よだれを多量に垂らす など

こんな症状は要注意

てんかん発作によって、死亡するケースはあまりありません。しかし、てんかん発作が5~10分以上継続する「重積発作」や、24時間以内に2回以上てんかん発作を起こす「群発発作」は、非常に緊急性が高い発作といえるので、すぐに動物病院を受診してください。

犬のてんかんの主な治療法

てんかんの治療法は原因によって異なります。
例えば、特発性てんかんの場合は、抗てんかん薬によって症状の頻度や発作の程度を少なくし、脳へのダメージを抑える治療を行うケースが多いです。一方、症候性てんかんの場合は、それぞれの原因に応じて内科治療や外科治療を行います。
犬のてんかんについては、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

てんかん以外の犬の痙攣(けいれん)の原因とは

散歩するミックス犬
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
てんかん以外にも、犬は以下のような原因によって痙攣を起こすことがあります。

筋肉疲労

激しい運動をした後などに、体の筋肉の一部(前足など)が震えることがあります。この場合は、一時的なもので、時間が経つとおさまるでしょう。

中毒症状

チョコレートなど、犬が食中毒を起こすものを食べたときや、殺虫剤や除草剤などの中毒によって痙攣を起こすことがあります。最悪の場合死に至るおそれもあるので、すぐに動物病院へ連絡してください。

犬が口にすると危険なものについては、下記の記事で解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

熱中症

犬の体が熱く、痙攣を起こしている場合は、重度の熱中症かもしれません。この場合、体を冷やすなどの応急処置をして、すぐに動物病院に連れていく必要があるでしょう。

犬の熱中症の症状や原因、対処法などについては、下記の記事を参考にしてください。

低血糖

低血糖とは、空腹時の子犬や糖尿病の犬に見られる症状です。家庭でできる対処法としては、砂糖水やブドウ糖液、ガムシロップ、食事を与えるなどが挙げられますが、ぐったりしている場合は緊急事態といえます。とくに、生後間もない子犬や月齢の若い子犬が低血糖を起こした場合は、死に至ることもあるので、一刻も早く動物病院へ連れていきましょう。

犬の糖尿病については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

その他

犬が痙攣を起こす病気としてはほかにも、脳腫瘍や犬ジステンパーウイルス感染症、水頭症や心臓病などが挙げられます。また、末期の腎不全で尿毒症になると、痙攣を起こすことも。そのほか、老犬の場合は、死が近づくと痙攣や震えを起こすことがあります。

犬が痙攣(けいれん)発作を起こしたときの対処法

散歩中車に興味津々のシー・ズー
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬が痙攣を起こしたときに慌てないよう、適切な対処法を知っておきましょう。

飼い主さんが取るべき対処法

  • 周囲に犬がぶつかりそうなものがあれば片づける
  • 階段や段差での転落を防ぐため、ドアを閉めて犬の安全を確保する
  • やさしく小さな声で「大丈夫だよ」などと声をかける
  • 診察の手助けになるので、痙攣している状況を記録したり、動画を撮影したりする(※) など


※犬が痙攣している状況を記録する場合は、落ち着いてからでもいいので、以下のチェックポイントをメモしておきましょう。

犬の痙攣時のチェックポイント

  • 痙攣を起こした日時
  • 発作の回数(初めてかどうか)
  • 痙攣を起こす前に食べたもの
  • 痙攣を起こす前の行動
  • 犬のいる部屋の温度
  • 痙攣発作の継続時間
  • 発作の起こった部位(部分的なのか全身なのか)
  • 発作の内容(嘔吐やよだれの有無) など

犬が痙攣を起こしているときの注意点

痙攣を起こしている間は、犬が錯乱状態になっていることもあるので、手を近づけると噛まれてしまう可能性があります。そのため、痙攣がおさまるまでの間は触らず、見守ってあげたほうがいいでしょう。

そして、犬が落ち着いたら、首輪やリードをつけている場合は、安全を確認したうえで外し、嘔吐物やよだれ、泡などが口まわりについているようなら、拭いてあげてください。回復後しばらくたっても意識がもうろうとしたり、ぐったりしていたりする場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

なお、犬が痙攣を起こしているときに以下の行動を取るのは大変危険ですので、絶対にやめてください。

犬の痙攣時のNG行動

  • 無理に犬を押さえつけ、痙攣を止めようとする
  • 体を起こしたり、揺らしたりする
  • 大きな声で名前を呼ぶなど、大きな音で犬を刺激する
  • 犬の口にタオルを挟もうとする など

犬の痙攣(けいれん)に関する正しい知識をもって慌てずに対処しよう

散歩に出かけるチワワ
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
実際に愛犬が痙攣を起こすと、そのショッキングな姿に驚き慌ててしまうかもしれませんが、痙攣によって直ちに死に至るケースは珍しいです。犬の痙攣に関する正しい知識を身につけて、少しでも冷静に対処でいきるといいですね。
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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