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【獣医師監修】犬のフケの原因 大量のフケの原因や考えられる病気も
愛犬の被毛や皮膚に白い粉状のものがあったら、それはフケかもしれません。今回は、犬にフケが出るメカニズムや、フケの原因となる生活習慣や病気、シャンプーや環境改善によるフケ対策についてご紹介していきます。犬の皮膚コンディションを知るきっかけにしましょう。
岡部 知 先生
フケの出る仕組み
犬の表皮とターンオーバー
健康な表皮には細胞がきれいに整列しており、その細胞は常に新陳代謝を繰り返しています。「ターンオーバー」という言葉を聞いたことがあるかたも多いと思いますが、ターンオーバーとはまさに新陳代謝のことを指しており、古い細胞を捨てて新しい細胞が表皮上に出てくる「皮膚の生まれ変わり」のことをいいます。
人のターンオーバーは約28日といわれており、犬のターンオーバーは人より若干早く、約20日前後とされています。
ターンオーバーの副産物「フケ」
対応が必要なフケはどんなもの?大量の場合は?
しかし病気などでフケが大量に出る場合は、何気ない日常の中でも目につくことがあります。愛犬のお手入れのときなどに「いつもよりフケが多いな」と感じたら、何らかの皮膚トラブルの可能性も。
フケの主な原因は?
肌に合っていないシャンプー
皮膚のダメージはフケとなって表れ、悪化すると炎症を起こしてしまうかもしれません。愛犬の肌に合ったシャンプーを慎重に選びましょう。
乾燥
愛犬が乾燥肌の場合は、シャンプーをする間隔を見直して皮脂を取り除きすぎないようにしたり、保湿剤でケアをしてあげたりするのがおすすめです。今は動物用の保湿剤もいろいろなタイプのものが発売されており、シャンプー時に全身にかけるタイプやスプレータイプ、泡のタイプ、スポットタイプなどがあります。
乾燥肌は、アトピー性皮膚炎でも起こる症状です。乾燥肌を放置し続けると肌バリア機能が低下し、細菌感染などを引き起こしやすくなるので、乾燥したフケが気になるようなら獣医師に相談しましょう。
ストレス
そもそも人と行動パターンが違う犬は、生活環境からストレスを感じることもあるでしょう。たとえば愛犬にハウスが無い場合、安心してくつろげない犬もいます。ゆったりくつろいだり、動揺したときに逃げ込めたりするような「隠れ家スペース」を確保してあげると、ストレス軽減につながるでしょう。
ほかにも、トイレの場所が人の往来の激しい場所にあるなら、落ち着く場所へ移動してあげるなど、犬の本質を尊重した環境へ変えることが重要です。
フケが症状としてあらわれる病気
アトピー性皮膚炎
症状としては皮膚の激しいかゆみや炎症、大量のフケなど。犬は気になったところをかゆがったり、しきりになめたりするので、肌がただれることもあります。
最近は即効性があり副作用が少ない内服やかゆみを抑える注射薬が発売されたことで、その効果が期待されていますが、完治は難しく、生涯付き合っていく病気ともいえるでしょう。シャンプーや保湿剤によるスキンケア、環境アレルゲンの低減、お薬の投薬により、かゆみを抑えていきます。
アトピー性皮膚炎の詳しい内容は下記も参考にしてみてください。
脂漏(しろう)症
アメリカン・コッカー・スパニエルやウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズーなどに比較的多く、遺伝的な要因で発症する場合もありますが、感染性皮膚炎やアレルギー、内分泌疾患、寄生虫感染、栄養性疾患、免疫介在性疾患、腫瘍などさまざまな要因で皮膚の代謝が乱れることで、脂漏症の症状が生じてフケを伴う場合もあります。
脂漏症の詳しい内容は下記も参考にしてみてください。
皮膚糸状菌症
症状としては、脱毛部位が円形に徐々にひろがっていく「リングワーム」という症状や、感染部位の被毛が脆くなって根元から折れたり千切れたりすることで短くボソボソした質感に変化したりなど、特徴のある症状がみられやすいです。また、大量のフケもみられます。
フケ対策にはシャンプーの地肌洗いがカギ!
シャンプーアイテム
- 肌に合ったシャンプーとリンス
- 泡立てネットとボウル
- タオル
- ドライヤー
- ブラシ(コームやスリッカー)
Step1:シャンプー前に全身をブラッシング
地肌までしっかり濡らす
Step3:モッチリ泡で洗う
背中から泡をのせ、生卵を持つような力加減でやさしく洗っていきましょう。泡で3~5分程度つけ置きすると効果的に洗うことができます。
Step4:すすぎ
Step5:保湿
希釈して全身にかけるタイプの保湿剤の場合は、すすぎ後に保湿剤を全身にかけてタオルドライを。その後、タオルで体を巻いて10分ほど蒸らしてあげると皮膚への保湿剤の浸透がよくなります。
Step6:乾燥
犬のシャンプーについては、以下の記事も参考にしてみてください。
フケ対策のためにも、ストレスのない環境作りを
犬の皮膚病についての詳しい内容は、次の記事も参考にしてみてください。
「いぬのきもち」2016年9月号『増えてきている病気から、注目の治療法まで一挙解説! スペシャリスト 獣医師が今、伝えたい犬の病気』
「いぬのきもち」2016年5月号『自然とイイコになる! ケガ・病気を防げる! 愛犬のための生活空間の工夫20』
監修/岡部知先生(厚木プリモ動物病院院長)
文/kagio
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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