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【獣医師解説】ドッグフードは国産?外国産?選び方を紹介!
良質なドッグフードを選ぶとき、実は、国産か外国産かは基準にならないことをご存知でしょうか。今回は、基本的なドッグフードの選び方や選ぶときの豆知識についてご紹介します。
国産か外国産かは良質なドッグフード選びの基準にならない!?
詳しくは後述しますが、この法律によって定められた基準や成分の規格に合わない製品は、製造・輸入・販売ともに禁止されているため、それが遵守されていれば産地問わず良質ということになります。反対に、この法律に反した製品が万が一販売されているのなら、例え国産であっても良質とはいえません。つまり、単純に産地のみで優劣の判断をつけることはできないのです。ちなみに、ペットフードの原産国とは、最終加工された場所になります。必ずしも原材料の産地というわけではありませんので頭に入れておくとよいでしょう。
◇「ペットフード安全法」ってどんな法律?
「ペットフード安全法」とは、正式名を“愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律”といいます。海外で、原料に有害物質が混入したペットフードを食べた犬猫に健康被害が出たことがきっかけで、この法律が日本で制定されました。
「ペットフード安全法」では、国(環境省や農林水産省)はペットフードの安全のため、守るべき基準や規格などを定め、事業者はそれを守った上で製造・輸入・販売することが定められています。世界でも類を見ない法律と言ってもいいでしょう。また、万が一、ペットに健康被害が認められたときには、国は対象となるペットフードの廃棄や回収などの命令を行うこともできるのです。対象となるのはドッグフードまたはキャットフードで、そのパッケージに、「①名称(犬用か猫用かも含め)」「②賞味期限」「③原材料名」「④原産国名」「⑤事業者名および住所」、以上の5項目の記載が義務付けられています。
◇他にもあった!ペットフードを守る規約
「ペットフード安全法」のほかにも、ペットフードの業界団体である「ペットフード公正取引協議会」によって制定された、「ペットフードの表⽰に関する公正競争規約」という規約も存在します。この規約では、「ペットフード安全法」で定められた5項に加え、「①ペットフードの目的」「②内容量」「③給与方法」「④成分」を合わせた、計9項目の記載を自主基準として採用しています。日本でペットフードの製造・輸入・販売を行っている多数の会社が「ペットフード公正取引協議会」の会員になっています。「ペットフード公正取引協議会」のホームページで会員社を確認することができます。
現在では、日本国内のペットフードの製造や輸入、販売などにかかわるすべての企業が、「ペットフード安全法」に基づいて安全性の確保に取り組んでいます。また、それに加えて、多数の企業が、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」に則った公正な製品表示をしています。
このように、日本国内に流通するペットフードは、国産・外国産に関わらず、その安全性を守る義務が課せられる法律と、詳細な表示を求める自主基準の規約によって、その安全性が確保されているのです。
基本的なドッグフードの選び方
◇主食としてのドッグフードは「総合栄養食」を選ぶこと!
ドッグフードのパッケージには、その使用目的として、以下の4つのうちの1つが記載されていますが、毎日の主食として与えるドッグフードには、「総合栄養食」を選んでください。
《ドッグフードの目的》 | |
総合栄養食 | それぞれの成長段階において、健康を維持するために必要な栄養素がバランスよく調整されたドッグフードです。また、このドッグフードには適応する成長段階もあわせて記載されています。 |
療法食 | 特定の病気や健康状態の犬の食事管理のために、獣医師の指示のもとで与えるドッグフードです。特定の栄養成分の量や比率がきちんと調整されています。 |
間食 | おやつやごほうびとして与えることのできるドッグフードで、ジャーキーやガムなどが代表的です。 |
その他の目的食 | 例えばカロリー補給や嗜好増進など、目的が定められたドッグフードです。 |
育ち盛りの子犬は、成長するためにたくさんのエネルギーや栄養を必要としますが、成長とともに代謝や運動量なども変化して、注意すべき点が変わってきます。このように、その犬の年齢や生活状態、犬種によって、必要とする栄養素の量やバランスが異なるため、「総合栄養食」のなかでも、適切なライフステージのものや犬種別のものを与えるということが重要です。
◇ウエットタイプかドライタイプかは愛犬に合わせて
ドッグフードは、含まれる水分量によって、ウエットタイプとドライタイプに分けられます。どちらにもメリットとデメリットがあるので、どちらがより良いとは断定できません。愛犬の好みや状態などを考慮して、飼い主さんご自身で判断してよいでしょう。
ウエットタイプ | ドライタイプ |
・水分含有量70~80%程度 ・開封後は保存がきかない ・かさが多く満腹感を感じやすい ・食事で水分がとれる ・食欲が低下しているときに効果的なことも | ・水分含有量10%以下 ・保存がきく ・少量で効率よく栄養がとれる ・比較的経済的 ・機能性の選択肢が豊富 |
ドッグフードを選ぶときの豆知識
◇「ナチュラル」や「オーガニック」のドッグフードとは?
「ナチュラル」とは、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によって、化学的に合成した原材料や着色料を使用していないものに記載することが許されている表現です。ちなみに「オーガニック」は日本のペットフードには基準がありません。また、「ナチュラル」や「オーガニック」なものが、健康により良いという医学的な根拠はありません。どちらも、あくまでも素材にまでこだわって選びたいときの参考指標の1つであり、製品の品質や安全性が高いことを保証しているというわけではありません。
◇犬種別のドッグフードは他とどう違うの?
犬種別のドッグフードは、例えばプードルは毛が伸び続ける犬種であるため、プードル用のフードには毛に必要な栄養素が豊富に配合されていたり、ダックスフンドは前足がガニ股になっているため関節に負担がかかりがちなので、グルコサミンやコンドロイチンを多く配合していたりと、対象の犬種の特徴や起こりやすいトラブルに配慮するなど各メーカーが独自に工夫しています。同じ犬種であっても個体によってその体質はさまざまなので、獣医師やペット専門店などと相談のうえ、愛犬に合ったフードを選ぶとよいでしょう。
◇「グルテンフリー」や「グレインフリー」と書かれたドッグフードとは?
「○○フリー」とは、「○○が入っていない」という意味の言葉です。
・グルテンフリーとは?
小麦などの麦類に含まれるたんぱく質を含んでいない、という意味です。もともとは欧米によく見られるグルテン過敏症の人たちのための除去食の表示として使われる言葉で、この症状は犬の場合、アイリッシュ・セターにみられることがあります。グルテン過敏症の場合は、グルテンを避けるため麦類を避けた食事を与えなければなりません。
・グレインフリーとは?
グルテンだけに限らず、広く穀物(グレイン)を原材料に使用しない、という意味です。穀物にアレルギーがある場合には、選択肢の1つとなるでしょう。
食物アレルギーの場合、アレルゲンをきちんと排除することが必要ですが、特定が難しいという側面もあるため、気になる症状がある場合には、獣医師に相談をしてください。
ただし、人の食事についても言われていることですが、グルテンや穀物に対するアレルギーがないのであれば、グルテンフリーやグレインフリーがとくに体に良いという科学的な根拠はありません。小麦や米などの穀物を使わないことで、タンパク質や脂肪が過多になって栄養バランスが偏ってしまうこともありますので、フード選びには注意が必要です。グルテンフリーやグレインフリーにこだわらず、愛犬に適した栄養バランスのフードを選ぶようにしましょう。
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