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【獣医師監修】安全でコスパのよいドッグフードは市販で買える? ドッグフードの安全性に関する疑問や選ぶ際の注意点

この記事では、安全なドッグフードを選ぶために知っておきたいポイントや、安全なドッグフードに関するFAQ、注意点、安全なドッグフード選ぶ際の基本事項を専門家監修のもとご紹介します。ぜひ愛犬の食事管理にお役立てください。

徳本 一義 先生

 獣医師
 有限会社ハーモニー代表取締役
 日本ペット栄養学会理事
 ペットフード協会新資格検定制度実行委員会委員長
 日本獣医生命科学大学非常勤講師
 帝京科学大学非常勤講師
 など

●資格:獣医師 経営学修士(MBA)

●所属:日本ペット栄養学会

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安全なドッグフードとは

ビーグルの梵旦ちゃん
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
日本で流通しているドッグフードの品質や安全性は、「ペットフード安全法(正式名称:愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)」によって保障されています。

「ペットフード安全法」とは、国内で流通するペットフードの安全性を確保し、犬や猫の健康を守ることなどを目的とした法律です。この法律では、安全なペットフード流通のための守るべき基準や規格が国によって設けられ、事業者はそれを守って製造・輸入・販売することが義務付けられているため、この法律がある限り、国内で販売されているドッグフードはすべて安全といえるでしょう。

しかし、どんなに良質で安全なドッグフードでも、愛犬に合わないことがあります。愛犬のドッグフードを選ぶ際は、「無添加のほうが安全」「市販のコスパがよいものは危険」「人気ランキング上位に入ったもののほうが良質」などと考えるのではなく、愛犬の体に合っているかどうか慎重に判断することが大切です。

無添加のほうがよい? 安全なドッグフードに関するFAQ

ミニチュア・ダックスフンドのこたろうちゃん
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
安全なドッグフードについては、以下のような疑問がよせられています。

無添加ドッグフードのほうが安全なの?

添加物を使用しているからといって、そのドッグフードの品質や安全性が劣ることはありません。ドッグフードに使用されている添加物は、犬の健康に影響を及ぼさないもの、あるいは毎日食べても犬の健康に影響を与えないと科学的に証明された量しか使用してはいけないと、先述の「ペットフード安全法」によって定められています。そのため、ドッグフードに使用されている添加物について、極端に不安に思う必要はないでしょう。

◆「どうしても添加物が気になる」という場合は……

缶詰やレトルトパウチなど、ウェットタイプの総合栄養食から選択するという手もあるでしょう。ウェットフードは、使い切りで未開封であれば酸素に触れることがないので、酸化防止剤や保存料が使われていない製品が多くあります。

「ナチュラル」「オーガニック」なドッグフードのほうがいいの?

「ナチュラル」や「オーガニック」と表記されたドッグフードが、ほかのものより栄養バランスに優れていて健康面に優位というわけではありません

ドッグフードにおける「ナチュラル」とは、化学的に合成された原材料や着色料が含まれていない製品に記載が許される表現です。一方の「オーガニック」は、最小限の農薬を使用した原材料を用いた食品を指す言葉ですが、日本のドッグフードには基準が定められていません。

繰り返しになりますが、ドッグフードに使用される添加物は毎日食べたとしても健康被害が起きないように、使用する量が定められています。また、国内に流通するペットフードにおいて、食品添加物が問題となった健康被害も知られていません。ドッグフードが「ナチュラル」「オーガニック」であるかどうかは、素材にこだわりたいときなどの選択肢のひとつにするとよいでしょう。

ドッグフードが安全な国は? 国産と外国産で安全性に違いはある?

「ペットフード安全法」によって、国内で流通するすべてのドッグフードの安全性が確保されているため、「ドッグフードが安全な国は○○」などと、産地によって品質や安全性の優劣をつけることはできません。この法律によって定められた基準に合わない製品は、製造・輸入・販売ともに禁止されているため、それが遵守されていれば国産・外国産問わず安全といえます。

「安い」「コスパがよい」ドッグフードでも安全? 市販で買える?

ときどき「市販の安いドッグフードには、危険な原材料が使われているのでは?」といった声も聞かれますが、「ペットフード安全法」が守られている限り、日本で危険なドッグフードが出回ることはありません。価格にとらわれず愛犬の年齢や体質などに合ったものを見つけてあげることが大切です。

ウェットフードとドライフードはどちらが安全?

ウェットタイプやドライタイプなど、食感の違いによって品質や安全性に優劣をつけることはできません。それぞれ以下のような特徴やメリット・デメリットがあるので、愛犬の健康状態や好みなどに合わせて選んであげるとよいでしょう。
ウェットフードの特徴ドライフードの特徴
  • 水分含有量が80%前後あり、食事と水分補給が同時にできる
  • 水分含有量が多いため、必要な給与量がドライフードより多い
  • 食欲が落ちているときでも食べやすい
  • 一度開封すると保存がきかない
  • 総合栄養食でない製品も多い など
  • 水分が少ないので保存がきく
  • 比較的安価なものが多い
  • 少量でも効率よく必要な栄養がとれる
  • 機能性の幅が広く選べる種類が豊富
  • 総合栄養食が多い など
このほか、半生フード(セミモイストフード)などと呼ばれるものもありますが、半生フードについては水分含有量が25~35%程度とされていて、水分を保つために湿潤調整剤が使用されているのが特徴のひとつです。

根拠のないランキングを信じるのはNG! 安全なドッグフードに関する注意点

柴のぽんたちゃん
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
ドッグフードに関する誤った情報も出回っています。愛犬のドッグフードを選ぶ際には十分注意しましょう。

根拠のない「ドッグフードランキング」に注意

インターネットには数多くの情報が流れているため、ドッグフード選びの参考にする飼い主さんも多いでしょう。しかし、なかにはアフィリエイト(※)の成果報酬が高いドッグフードを自身のウェブサイトで売るために、調査方法や根拠が明記されていない「安全なドッグフードランキング」を紹介する人もいるようです。

もちろん、アフィリエイト自体は悪いものではなく、アフィリエイト広告を使って販売されているドッグフードの質が低いということでもありません。しかし、信ぴょう性の低いランキングなどを鵜呑みにして商品を購入するのは、愛犬の健康を害するおそれがあるので注意が必要でしょう。愛犬に合ったドッグフードを正しく選ぶためには、ドッグフードに関する基本的な知識や、情報の正確性を見極める力を身につけるがことが大切です。

※自身のウェブサイトやブログなどに特定の商品やサービスの広告を掲載し、訪問者がその広告をクリックして商品やサービスを購入すると、生じた利益に応じて広告を掲載した人に成果報酬が支払われる成果報酬型の広告のこと。

ドッグフードの原材料の安全性に関する誤った情報に注意

◆「チキンミール」「ミートミール」が危険!?

「チキンミール」は鶏肉を、「ミートミール」は牛や豚などの肉を粉末状にしたものです。一部では「原材料に何が含まれているかわからない」などと不安視する声もありますが、「ペットフード安全法」に則り安全性が確認されたもののみを使用しているため、不安に思う必要はありません。

むしろ、乾燥させて粉末状にすることで加工しやすくなったり、重量あたりの栄養価が高くなったりするなど、さまざまなメリットが生まれることもあるので、噂に惑わされないようにしましょう。

◆「グレインフリー」「グルテンフリー」のほうが安全!?

「犬は本来穀物を食べない動物だから、グレインフリーのほうが健康によい」という意見も耳にしますが、ドッグフードに使用されている穀類は、加熱調理によって消化性が高められているので、犬に与えても問題ありません。

むしろ、穀類を用いることで、犬種や健康状態に応じて栄養バランスの細やかな調整ができるといったメリットもあります。「グレインフリー」「グルテンフリー」のドッグフードは、穀物やグルテンにアレルギーがある犬を除き、特に与えるメリットがないといえるでしょう。

最初に「○○肉」と記載されているほうが安全!? 原材料の読み方に注意

ドッグフードの原材料名は、重量の割合の大きいものから記載する決まりなので、「原材料名の最初に『○○肉』と書かれているものを選んだほうが良質」という意見も聞かれます。

しかし、消化がよくアミノ酸バランスが整ったタンパク質であれば、摂取する量は少なくても支障はなく、また必要な栄養素が得られれば、動物性・植物性どの原材料のドッグフードを選んだとしても問題ありません。

ちなみに、動物性の栄養素を肉や魚など複数の原材料から確保している場合は、一つひとつの素材の使用量が少なくなるため、ほかの原材料より後に記載されることになるでしょう。大切なのは犬の健康に必要な栄養バランスなので、原材料表示の順番ばかりに振り回されてはいけません。

「手作りドッグフードのほうが安全」という考え方にも注意が必要

原材料などにこだわりたい飼い主さんの場合は、「手作りドッグフードのほうが安全」と考えるかたもいるでしょう。しかし、手作りドッグフードのみを与えて、犬に必要な1日の栄養素をまかなうのはかなりの知識と労力が必要です。

専門的な知識のある人でない限り、手作りのドッグフードは愛犬のお誕生日など、“たまのお楽しみ” としておやつ程度に与えるようにしましょう。どうしても日常的に与えたい場合は、総合栄養食を主食とし、1日の食事のうち20%以内を目安に、手作りドッグフードを与えるという方法もあります。

安全なドッグフードを選ぶ際の基本事項

MIXの怜ノ助ちゃん
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
愛犬に合ったドッグフードを選ぶ際に知っておきたい基本事項をご紹介します。

主食は「総合栄養食」のなかから選ぶのが基本

ドッグフードは、目的別に「総合栄養食」「間食」「療法食」「その他の目的食」に分類されています。健康な犬の主食は「総合栄養食」のなかから選ぶようにしましょう。
《ドッグフードの目的》
総合栄養食犬の主食として与えることを目的としたもので、当該ドッグフードと水を与えるだけで、指定された成長段階における健康を維持できるよう、栄養バランスが整えられています。
療法食特定の病気や健康状態の犬の食事管理のために、獣医師の指示のもとで与えるドッグフードです。
間食おやつやごほうびとして与えることのできるドッグフードです。ジャーキーやガムなどが代表的でしょう。
その他の目的食上記3つ以外で、カロリー補給や嗜好増進など、目的が定められたドッグフードです。
※ペットフード公正取引協議会が定めた試験をクリアした製品のみが、「総合栄養食」の表記を認められています。
なお、総合栄養食のなかには、機能性フードや犬種別フードと呼ばれるものもあります。機能性フードは健康を維持するうえで気になるポイントに応じて栄養バランスが調整されたもので、犬種別フードは特定の犬種に起こりやすいトラブルなどに配慮されたものです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

愛犬の犬種や体質・健康状態に合ったものを選ぶ

犬の体質や健康状態によっては、療法食や機能性フード、犬種別フードなどを与えたほうがよい場合もあります。その都度適切な選択ができるよう、日頃からよく健康観察を行うのはもちろん、定期的に動物病院で健康診断を受けるなどして、愛犬の体質や健康状態をきちんと把握しておくことが大切です。

なお先述のとおり、療法食は特定の病気のときに与えるものなので、健康な犬の食事には向いていません。療法食は飼い主さんの独断で購入せず、必ず獣医師の指示に従い利用するようにしましょう。

愛犬の年齢や体型に合ったものを選ぶ

育ち盛りの子犬と成長が落ち着いた成犬では、体重あたりの必要なエネルギー量や栄養バランスが異なります。健康のためにも、愛犬のライフステージ(年齢や肥満などの生活状態、妊娠などの生理状態)に合ったものを選ぶようにしてください。
《ライフステージ別ドッグフード選びのポイント》
子犬急激な成長をサポートするため、少量で効率よく必要なエネルギーや栄養素を消化・吸収できるものを選ぶとよいでしょう。
成犬犬にとって必要な栄養バランスを崩さず、肥満を防げるものを選ぶとよいでしょう。
肥満傾向低カロリーで満腹感を与えられるよう、高タンパク、低脂肪、高食物繊維といった、体重管理に適した栄養バランスが整えられたドッグフードを選ぶとよいでしょう。
妊娠/授乳期母犬だけでなく子犬の分まで栄養が必要なので、たっぷり栄養を摂取できる専用のドッグフードを選ぶとよいでしょう。
シニア犬食欲や消化・吸収能力が衰える傾向にあるため、エネルギー効率がよいドッグフードを選ぶとよいでしょう。
※肥満傾向の犬、シニア犬については総合栄養食の栄養基準がないので、各メーカーの考え方に基づいて開発されています。
摂取する栄養は、多くても少なくても愛犬の健康に悪影響を及ぼすため、かかりつけの獣医師などに相談しながら、適切なドッグフードを選んであげましょう。

以下の記事では、犬のライフステージごとの栄養管理について詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。

ドッグフードのパッケージ表示を確認することも大切

すべてのドッグフードのパッケージには、ドッグフードを選ぶために必要な情報(目的・ライフステージ・原材料・成分など)が記載されているので、必ず確認するようにしましょう。

パッケージ表示の見方については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

ドッグフードは愛犬に合ったものを選ぼう

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークのレオちゃん
いぬのきもち投稿写真ギャラリー
繰り返しになりますが、ペットフード安全法が守られている限り、市販やお値段が抑えめでコスパがよいドッグフードドッグフードでも、安全性に違いはありません。ネット上のランキングやその製品が無添加かどうかは、あくまで参考程度にとどめておくようにしましょう。

ドッグフードが愛犬の体に合っているかどうかは、飼い主さんが判断してあげなければなりません。愛犬がより健康に暮らせるように、栄養面や原材料をしっかり確認したうえで、愛犬の健康状態や好みに合ったドッグフードを選んであげることが大切です。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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